ウクレレと用具

Enya Nova Uウクレレの音を測定してレビュー。世界のYouTuberに評判がいい理由は?

2021年10月27日

1万円以下で買える樹脂製のウクレレEnya Nova Uをテストしてみました。音量は木のウクレレと同じレベルで、倍音も出ており、データ的には「木製ウクレレとほぼ変わらない」という結果に! 詳しくは記事中で詳しく発表しています。

細かい点では賛否があると思いますが、総合的にみて「コスパが高く、買ってソンのないモデル」と結論づけました。

この記事は「初心者におすすめのウクレレは?」というテーマの記事の補足記事として制作しました。

全体の印象や細かい点の仕上げは価格以上

Enya Nova U 全体ショット

「これが8000円のウクレレか」と思いながら見ると、かなり優秀な仕上げです。国産ウクレレ好きとしては、くやしいですがきれいです。

Amazonの1000円引きクーポンがあったので8000円で買えました。

Enya Nova Uとはどんなウクレレ?

Enya Nova U ウクレレ・ヘッド

Enya Nova Uは、カーボンファイバーを30%混合したポリカーボネイト製のウクレレです。中国の楽器メーカーEnyaがつくる樹脂製ウクレレですが、すでにYouTubeのレビューが大量に出ています。

評判は非常によく、けなしている人を見たことがありません。

この記事ではそういったレビューを補完できるように、主にデータ面から評価してみたいと思います。

弦高や細部の精度は価格以上の水準

弦高2.5~2.6ミリくらい。欲をいえばもう0.2ミリほどほしい

届いてまず12フレット付近での弦高をチェックしましたが、1円玉2枚ぶんと標準的な数値。木製ではなく樹脂製の工業製品なので、こういう点は優秀です。

続いてオクターブピッチを測ると、価格から考えられないくらい正確でした。

Enya Nova UのオクターブピッチをFujigenと比較
左がNova U、右がFujigen

左がEnya Nova Uで、右がFujigen FUS-TCです。値段が10倍くらいのFujigenと比べて、まったく遜色がないことに驚きました。

オクターブピッチは12フレットを押さえてきちんとオクターブ上の音が出ているかを測っています。通常安いウクレレは大幅にずれていますが、Nova Uはやたらと正確でした。

ただし通常のコンサートサイズより若干ですが弦長が長いので、フレット間はやや広く、手が小さい人はワンサイズ下のNova U miniを選んだ方がいいかもしれません。

サウンド的にはクセがあり、好みが分かれる

音は悪くないですがやや固く、やはり木製とは違う響きのように感じます。比較的明るくクリアなサウンドですが、ちょっとクセがある感じ。とはいえ、違和感があるおかしな音ではありません。ちゃんとウクレレの音の範囲内だと感じます。

上の動画でサンプル音源を聴くことができます。

好みの問題なので、こういうシャープな音が好きであればぜんぜんありだと思います。

音量・倍音を測定してみるとかなり優秀

Nova Uウクレレの音を測定してみると、楽器から1.5m離れた場所で平均83.6dB。これはごく平凡な音量ですが、価格や素材を考えると優秀な水準です。

メーカー 機種名 トップの材 1.5m離れた時
Enya Nova U 樹脂 Enya フロロ 83.9dB
83.1dB
83.7dB

特徴的だと感じたのは、最大音量にバラツキがないこと。その他のウクレレであればもう少しデータがばらつくのですが、Nova Uに限っては弾くたびにほぼ同じ音量の音が出ます。

音量の測定時は、測定用に編曲した「クレイジーG」を演奏しています。3度計測して平均をとりました。

【参考】他のウクレレの音も測定しており、以下の記事にまとめています。KALA、Lehoなど他ブランドと比較したい人はぜひ読んでみてください。

倍音も出ており木製との差は感じられない

Nova Uの倍音の出方を計測
左がNova U、右がFujigen

次にiPhoneアプリの「Audio Spectrum Monitor」で倍音の出方をチェックしてみました。左がNova U、右がFujigen FUS-TCです(いずれも3弦開放のド)。

Nova UはFujigenに比べるとC5(1オクターブ上のドの音)の成分が少ないですが、オクターブと5度上のG5やC6はそれなりに出ています。安価な木製のウクレレより優秀です。

倍音は、鳴らしたい音の整数倍の周波数をもつ音の成分のことで、一般的には倍音がよくでている方が豊かな響きであるとされます。

続いて、低音から高音までの音の成分を調べました。ここでは3弦解放のドの音を弾いています。

Enya Nova Uの音声スペクトラム分析
左がNova U、右がFujigen

音声スペクトルを比較すると、Fujigen FUS-TCとあまり変わりませんでした。20Hz付近の低音から、20K付近の高音まできれいに出ています。

音を測定してみた結論としては、「樹脂製だけあって正確な製品だ」といえます。音の減衰も少なくサスティーンも良好でした。

Enya Nova Uの欠点とは?

Enya Nova Uの指板

Nova Uにも欠点はあります。まず、フレットが見にくい点。Nova Uのフレットは金属ではなく樹脂の一体形成で、黒色です。フィンガーボードと同じ色なので見えにくく、なおかつスケール(弦長)がちょっと長いので、個人的には弾きにくいと感じました。

テナーサイズのNova U Proのみ金属製フレットを採用しています。

また、ポジションマークが手裏剣のような形で、これもちょっと見にくいです。好みの問題ですが、普通に丸にしてくれた方が直感的にポジションを把握できそう。まぁ、これは言いがかりに近いですが……。

Enya Nova Uウクレレのナット

フレットもそうですが、ナットも一体形成です。もしナットがすり減っても交換できません。一度Nova UをLog-Gに張り替えたら、楽器の寿命がくるまでLog-Gでいくしかないか……という点は気になります。

あとは「ザ・工業製品」的な見た目とディテール。この値段なら文句はないのですが、持つ喜びみたいなものはありません。

結論として

若干の欠点はありますが、驚異的なコストパフォーマンスをもつウクレレなので、購入を検討しているなら買って損はないと思います。

テストする前は「1本目のウクレレには向いていないだろう」と考えていましたが、実物を手にして、弾いてみて、初心者が1本目のウクレレに選んでも一応問題ないと考えます。

本当の本音はKALAにしてほしい

初心者の初めての1本、本当に本音で言うとしたら「もうちょっと予算を出してKALA KA-Sあたりを買ってほしい」と思います。Nova Uもいいウクレレですがボディが薄いので、ウクレレ本来の持ち方ができません。もしかしたら変なクセがつくかもしれないので、Nova Uは2本目以降が正解ではないかと思います。

中途半端な値段でフレット音痴なウクレレを買うなら、むしろ初心者もNova Uでいいかもしれません。

参考までに、今回比較したFujigenウクレレはこれでした。

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Enya Nova Uウクレレの評判はなぜいいのか?

Enya Nova Uについては、世界中のYouTuberがレビューしています。「Enya Nova U」でYouTube検索をすると、上の画像のように超大量のレビューが、世界中で投稿されていることがわかります(注1)

Enyaというメーカーについて調べてみると、もともとはOEMで他メーカーのウクレレを生産していたファクトリーだったようです。そこから独自のブランドを立ち上げ、世界戦略を立ててEnyaブランドを作り上げていきました。

Enyaは店頭に並ぶことはほとんどなく、Amazonなどのネット販売が主力。実は日本でも扱っているウクレレ専門店はありますが、卸業者を通さない、メーカー直取引だそうです。

Enyaは既存の流通ルートにのせずに直販中心とすることでコストを下げ、なおかつYouTubeのレビューを増やす広告・宣伝戦略をとり、大幅に存在感を伸ばしつつあります。

注1……KALA KA-15など、他メーカーのウクレレのレビューもたくさんありますが、Nova Uは特にたくさんレビューされています。

日本はもう中国に勝てないのかという寂しさが……

今回、たった8000円で買ったウクレレが、愛機Fujigen FUS-TCと、少なくともデータ上は互角の性能だったことに衝撃を受けました。

もちろん「弾きやすさ」「音の美しさ」といった主観的な部分ではFujigenが勝っていると思ってはいますが、値段は10倍の開きが……。

値段の差を考えると、本当にFujigenの勝ちなのか、実はEnyaの勝ちなのかはなんともいえません。

Enyaという中国企業は革新的な素材(カーボンファイバー+ポリカーボネイト)でウクレレを造り、既存の流通ルートを使わない革新的な方法でそれを販売しています。

なぜ、日本のメーカーにこれができないのか……。

なんかちょっと寂しいですね。鈴木智貴さんまでEnyaのレビューしてるし……。というわけでEnyaのNova Uは寂しくなるくらいよくできているというのが、テストしてみた感想です。

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ジャパンブランド加油!
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なみのおと音楽教室を運営するアップライト合同会社のすちゃだら社長。高校の部活(ビッグバンドジャズ)でギターを始め、その後ウクレレに持ち替えました。記事監修はピアノ講師・のりこ先生にお願いしました。

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