テナーサイズかコンサートサイズか、ウクレレ選びで迷った時にわかりやすい判定方法があります。
左手 | 難しいコードに手が届くか? |
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セーハしやすいか? | |
右手 | 指先が自然にいい位置を弾けるか? |
この記事では、右手と左手の弾きやすさを具体的にどこで見ればいいのか? を解説しています。
記事後半では、目的別に「どっちを選べばいい?」を考えていきます。
ウクレレの主要3サイズ「ソプラノ、コンサート、テナー」の特徴と選び方を幅広く解説した記事もあります。
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わかりやすい選び方は右手・左手の「弾きやすさ」
「自分にとって弾きやすいのはどっち?」が最終的な判断基準になる、ウクレレのサイズ選び。
小柄な女性の場合、ソプラノウクレレが最適で、ムリをして買い換える必要はないかもしれません。
男性の場合は、実はコンサートサイズ以上のほうが体格にあっていることが多く、買い替えを検討するのはある意味当然かもしれません。
そこで「どこを見れば自分にあったサイズかわかるの?」という疑問にお答えします。
左手は指が「届く」ことと「セーハのしやすさ」で選ぶ

手が小さい人でもソプラノウクレレは弾けますがテナーサイズになると押さえにくいコードが出てくるかもしれません。
そこで例えばC6のストレッチコードなどを押さえてみて、「難関コードが弾けるか」を確認するといいでしょう。
難関コードの例
上記が難関コードの一例です。このあたりで試してみて、なんとか弾けそうなサイズを選ぶのがおすすめです。
ポイント① 難関コードが弾けるかチェックして、弾きやすいサイズを選びましょう。
テナーサイズはちょっとセーハしにくいという問題も

またソプラノサイズとコンサートサイズで共用できる弦は多いのですが、テナーサイズはちょっと硬めのテナー専用になります。弦が硬く、弦を張る力(テンション)が強いので、セーハコードが押さえにくくなります。
ソプラノに比べた弦の硬さ | |
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コンサートサイズ | ちょっと硬いかな? くらいであまり違和感なし |
テナーサイズ | はっきり硬いとわかり、セーハの難易度はややアップ |
そこで、「ハイポジションでセーハできるかどうか」を確認しておき、弾けそうならテナーサイズ、厳しそうならコンサートサイズ……という風に切り分けるのもひとつの手です。
ポイント② セーハに自信がない人はコンサートサイズがおすすめ。握力ばっちりな人はテナーでも大丈夫です。
右手は「自然にいい位置をストロークできるか」で選ぶ

右手は左手に比べて判断基準がはっきりしています。店頭で試奏する時は、ぜひ右手に注目してください。
ウクレレを弾く時は右ヒジでウクレレのボディーを支え、あまりそのヒジを動かさずにストロークします。
正しくは上の写真のようにヒジよりちょっと手首より部分で、ウクレレのボディを支えます。
つまり、腕の長さによって自分に合うウクレレのサイズが変わってきます。

ウクレレで一番いい音がでるスイートスポットは、上の図のような位置です。右ヒジでウクレレのボディをはさんでストロークをした時、自然と人差し指(または親指)がこのスイートスポットを通るサイズがベスト。
女性であればソプラノサイズかコンサートサイズ、男性であればコンサートサイズかテナーサイズが適している場合が多いです。

ポイント③ ウクレレを持った時、右手の指が自然といい場所をストロークできるサイズが適正です。
ここまでをまとめると?
左手はC6のストレッチコードなど「難しいコードが押さえられるか?」と「セーハできるかをチェック」。右手は、ストラップなしでウクレレを持った時「自然にいい位置をストロークできるか?」を見てみると、自分に適したサイズがわかります。
お悩み別「テナーかコンサートか」判別法


だから、コンサートかテナーサイズウクレレを探している……というケース別に考えていきましょう。
ただし、結論としては「結局弾きやすい方がいい」に落ち着くことが多いです。
「もっと大きな音のウクレレが欲しい」時の選び方

「大きな音でよく鳴るウクレレが欲しいからテナーサイズにしたい」という声はよく聞きます。しかし騒音計で測定してみると、実はソプラノもコンサートもテナーも、音の大きさはほとんど変わりません。

この3本は、全てLehoというブランドのウクレレです。騒音計で測定してみると、それぞれ次のような音量でした。
ソプラノ | コンサート | テナー | |
---|---|---|---|
1回目 | 81.3dB | 84.7dB | 79.5dB |
2回目 | 82.4dB | 83.3dB | 79.0dB |
3回目 | 81.7dB | 84.1dB | 80.2dB |
平均 | 81.8dB | 84.0dN | 79.6dB |
この通り、サイズが大きいから音が大きいということはありませんでした。今回は同じメーカーで比較しましたが、別のメーカーであっても、サイズによる音量の差は出ません。

より大きな音が鳴るウクレレを探すとしたら、店頭で試奏をして一本一本確認してみるしかありません。例えばKALAのKA-J1というソプラノウクレレは1万円前後で買えますが、ほとんどの上位モデルより音が大きいです。
大きい音のウクレレ、鳴りのいいウクレレが欲しい場合、急いで中途半端なテナーウクレレを買うよりも、お小遣いをがっちり貯めてからいいウクレレを買うべきだと思います。

コアロハは独自の構造(ユニブレース構造など)のせいか、非常によく鳴る印象です。

音量測定はウクレレから1.5m離れた場所で3回測り、その平均を取りました。
「もっと低音の出るウクレレが欲しい」時の選び方
実は低音が出るウクレレは存在しません。音域はソプラノもコンサートもテナーも、すべて同じだからです。

バリトン以外のウクレレは、すべてG・C・E・Aのチューニングで、同じ音程です。なので、テナーサイズもソプラノサイズも、同じ高さの音しかでません。
また、よく「テナーウクレレはボディーが大きいので低音成分が豊か」といわれますが、測定してみるとそういうこともありませんでした。

音声スペクトルを表示するアプリで測定してみるとわかるのですが低音成分に関して、ソプラノもテナーもあまり変わりませんでした。

そこで、結論として「コンサートとテナー、どっちでもOK」です。基本は、弾きやすさや持ちやすさで選ぶのが正解です。
Low-Gにすると、もう少し低音が出ますね。
ウクレレベースという選択

もし「低音」の意味が「バンドを組んだりアンサンブルをする時に低音が欲しい」ということであれば、ウクレレベースがおすすめです。
ウクレレベースは小さなボディにもかかわらず、ウッドベースに似た雰囲気のある低音が出ます。音域は大型のベースと同じなので、普通のウクレレと組み合わせると迫力のある演奏になります。
うちにはDCTのウクレレベースがありますが、コスパが高く、いい音がします。

ウクレレベースを弾くなら、ウクレレに加えてベースの奏法も学ぶ必要があります。しかしベースがうまく演奏できるとかなりかっこいいので、ぜひ挑戦してください。
DCTは夢を叶える(Dream come true)の頭文字を取って設立されたジャパンブランドで、低価格ながらよくできたウクレレをラインナップしています。
「もっと高音の弾けるウクレレが欲しい」時の選び方

ジェイク・シマブクロのようなかっこいいソロが弾きたい場合、多くのソプラノウクレレではフレットの数が足りず、そもそも音が出せないため演奏することもできません。
ウクレレのサイズ別フレット数ソプラノウクレレ | 12から15フレット(17フレットのモデルも) |
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コンサート・テナーウクレレ | 18から19フレット |
テナーサイズかコンサートサイズであれば、フレット数はだいたい同じです。どちらを選んでも問題ありません。コンサートでもテナーでもいいので、弾いてみてしっくりくるものを選べばたいていの曲は弾けます。

ソプラノロングネックという選択
ソプラノウクレレにコンサートウクレレサイズの長いネックを組み合わせた「ソプラノロングネック」というウクレレもあります。
ボディサイズが小ぶりなので、ソロを弾きたい小柄な女性におすすめのカテゴリーです。
このジャンルで最高のコスパを誇るとされるのがAsturiasギターのSOLOウクレレ。使っている木材によって値段はまちまちですが、最も安いクラスのスプルースでも、衝撃的にいい音がします。


19フレットあり(14フレットジョイント)、深くえぐったカッタウェイボディのおかげでハイポジションの演奏性も高く、超おすすめのウクレレです。音も大きくよく鳴ります。

初心者だけどテナーかコンサートか迷っている時の選び方

初心者でも体が大きな人であればソプラノウクレレは小さすぎて弾きにくいかもしれません。
その場合テナーサイズかコンサートサイズの中から選ぶことになりますが、どちらかおすすめをあげるとしたらコンサートサイズです。
初心者セットのラインナップを見ると圧倒的にソプラノウクレレが多く、コンサートサイズも少しラインナップされている……という感じです。テナーウクレレの初心者セットはほとんど見かけることがありません。
ソプラノウクレレの初心者セット | 種類が豊富で好みに合ったものが選べる |
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コンサートウクレレの初心者セット | バリエーションは少ないが一応選べる |
テナーウクレレの初心者セット | めったに見ないので選べない |
こういった状況なので、初めての1本を探すとしたらコンサートウクレレになると思います。
たとえば1万円台で買えるコンサートウクレレの初心者セットといえば、以下のモデルがあげられます。

これはコスパが高く、かなりお買い得感のある初心者セットです。
予算が潤沢にある場合は初心者セットではなく単品で買い揃えてもいいと思います。その場合はテナーウクレレでも問題ありません。
テナーサイズかコンサートサイズかの選び方は、冒頭の表をもう一度掲載しておきます。
左手 | 難しいコードに手が届くか? |
---|---|
セーハしやすいか? | |
右手 | 指先が自然にいい位置を弾けるか? |
この表に照らし合わせて適正サイズを選び、テナーかコンサートかを決めるのがおすすめです。
目的別に考えるウクレレの「サイズ」

なみのおと音楽教室では資料用に楽器を収集しています。ウクレレも10台以上ストックしていて、趣味でもよく弾いています。
そして長年弾いているうちに、いつしかウクレレの役割は次のように決まってしまいました。
ソプラノ | 伴奏用(ナイロン弦) |
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コンサート | ソロ・伴奏両方(フロロカーボン弦) |
テナー | ソロかアルペジオ用(ナイルガット弦) |
ソプラノはいちばんウクレレらしい音が出るので、あえてサスティーンの短いナイロン弦を張ってコロコロしたサウンドを楽しんでいます。ほぼ伴奏にしか使いません。
コンサートは「これ1本で何でもできる」という性格なので、もっともひんぱんに弾いています。どんなジャンルの曲でも弾けるように、クリアなサウンドのフロロカーボン弦を張るようになりました。
ジャズやボサノバの曲で伴奏する時は、Low-Gのテナーを使います。アルペジオで伴奏する時もLow-Gのテナーをよく使います。High-Gのテナーはソロや単音弾き専用になりました。
このように、3つのサイズのウクレレを手元に置いておくと、いつの間にか役割が決まってくることもあります。それぞれのウクレレに、きっと出番があるはずです。
どうしてもテナーかコンサートか決められない! という時は、もう開き直って2本買ってしまうのもアリです。
また、ウクレレのサイズ全般については以下の記事で詳しく考察しました。
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おすすめのコンサート・テナーサイズウクレレ

コンサートサイズやテナーサイズのウクレレを検討している、ということであれば、初心者の方ではなく「2本目のウクレレを探している」というケースの方が多いはず!
そこで、「ソロ弾きやバンドアンサンブルに向いている楽器は?」という観点で、おすすめのウクレレをピックアップしていきます。


フジゲンのコンサートウクレレは、ソロ弾きにテッパンおすすめのモデルです。
やや太めのネックに細めのフレットワイヤーを組み合わせており、ジャカソロ系よりギターっぽいフィンガーピッキングに向いています。難しいソロに挑戦する時に、この弾きやすさは「頼りになる!」と感じます。
音量は普通ですが、シャープで美しいサウンドはフジゲンならでは。ポピュラー音楽全般に向いていると思います。

小柄な女性でソロを極めたい人に、超おすすめのモデルです。
ソプラノサイズのボディにコンサートウクレレ並のネックを組み合わせたウクレレで、ハイポジションまで弾きやすい設計。演奏性は非常に高いです。
サウンド的にも強烈な自己主張があり、アンサンブルなどには向きません。他のウクレレの存在感を消してしまうような迫力のあるサウンドです。あくまでもソロのために作られたウクレレだと感じます。
フジゲンはヘタな人が弾いても許される感じがあるのですが、このウクレレに限っては、そうはいかない感じがします。
上手い人専用機です。

槇原敬之さんのコンサートで、バンドのギタリストが、曲によってギターをウクレレに持ち替えて演奏していました。その時一目惚れして買ったのが、このウクレレです。
見た目もサウンドも、ゴダンのエレガットギターにそっくりです。
ポピュラー音楽全般のバッキングに使えますが、とくにボサノバなどは相性抜群。R&Bなども意外といけます。

EnyaがHPL(ハイ・プレッシャー・ラミネート)という材料(ほとんど樹脂)で作ったハイコストパフォーマンスモデル。Enyaのコスパはやばいくらい高く、この値段でも十分な性能です。
残念ながら常にデザインが微妙ですが、楽器としてはちゃんとしているので「テナーサイズウクレレの世界をのぞいてみたい」という場合にぴったりです。