この記事で紹介するのは、通常サイズより2まわりくらい小さな、かわいいサイズのキッズカホン。ホームセンターで手に入る材料で、初心者でも簡単に作ることができます。しかも、大人でも叩けるサイズです。

作りやすいうえに、北欧家具っぽい雰囲気が魅力。予算は3000円くらいに収まるので、ぜひ挑戦してください。
カホンを1台だけ作るとしたら材料の無駄が出てしまいます。2〜3台作ると無駄をなくせるのでおトクに作れるはず! 仲間を集めてみんなで作るのがおすすめです。
すぐに設計図をチェックしたい場合はこちらから。
小さくてかわいいのに使える!カホンの作り方

なみのおと音楽教室では、過去にいろいろな木材で、いろいろなサイズのカホンを作ってみました。
なかでもテッパンのおすすめが、1×10材を使って作る小さめのキッズカホン。3歳児くらいから叩けるかわいいサイズです。
そして、これは大人が無理なく叩けるぎりぎりのサイズでもあります。
設計上の工夫設計上の工夫としては、小さいサイズでも低音が鳴るように、打面に薄めのシナベニヤ材を使い、裏面のサウンドホールを大きくしています。

またサウンドホールの位置も背面板のど真ん中にセットすることで、抜けのよさと低音感を両立しました。

バズ音を出す響き線にはスネアドラム用のスナッピーを使い、またL型金具を使う事で、取付を簡単にしています。しかも、一度取り付けた後も金具を調整することでスナッピーの角度を変えることが可能です。
用意する物(工具編)

絶対必要な工具は、
- プラスドライバー
- のこぎり
- かんな
- 紙やすり
- サークルカッターまたはホールソー
- 40センチ以上の定規
あれば便利な工具は、
- 電動丸ノコ
- ディスクグラインダー
- インパクトドライバー
- 電動ドライバー
です。

ディスクグラインダーには木部を削るためのディスクをセットし、カホンの角を丸めるのに使います。なければサンドペーパーで削ります。










安くて性能にも定評があるものを選ぶなら、上のBOSCHが5000円くらい。うちで使っている日立工機のグラインダーは1万円くらいです。
電動ドライバードリルにはホールソーをセットし、背面の穴(直径120ミリ)を開ける時に使います。




















用意する物(材料編)


スナッピー以外の材料は、すべてホームセンターかネット通販で手に入ります。スナッピーは楽器店かアマゾンで購入できます。
- スナッピー(1つでカホン2台分)
- 1×10のSPF材(6フィート)
- シナベニヤ(2.5ミリ厚)
- ベニヤ板(5ミリ厚)
- 木工用ボンド
- ねじ類(木工用の長さ40ミリ前後のねじとスナッピーを固定するためのねじ)
- L字金具
- ゴム足(ボンネットゴム)
1×10材などの木材はホームセンターでカットしてもらうのがおすすめです。設計図をダウンロードして持って行くと便利です。
スナッピーの選び方
今回はPearlのS-031というスナッピーを使いました。楽器店で買うと1000円くらい。アマゾンでは800円弱で販売されています。










ネットで激安品を買うと長さが短く、バズ効果が出にくい場合があるので注意してください。
PearlのS-031はS-031Nに置き換わっている途中なので、値段に変動があるかもしれません。
木材の選び方


SPF材は個体差が大きく、ソリが気になるものがたくさん混じっています。そこで、ネットではなく必ずホームセンターで現物を見てから買ってください。
まず、お店にあるすべての木材をチェックしてソリがないものをピックアップします。
次に節や穴、傷がないものを選び、最終的に購入する商品を決めてください。
シナベニヤとベニヤ板は個体差があまりないので、ネット通販で安い物を購入しても問題ありませんが、送料を考えるとホームセンターがおトクです。
横幅を設計図より5ミリ狭くすると、225×300ミリの規格のベニヤ板が使えます。その場合1枚150円くらいで購入できることもあります。
L字金具の選び方


今回はホームセンターで200円くらいの金具を購入しました。細かいサイズは気にしなくてもOKですが、穴の位置に注意してください。
スナッピーの穴の間隔は3センチ(Pearlの場合)なので、それにあわせて3センチ間隔で穴が開いている物を探します。
スナッピーのブランドや型番が異なる場合、穴の間隔を測ってみて、それに合う金具を探してください。
ねじ類の選び方


構造部分については少なくとも板の厚みの2倍の長さがほしいので、今回は41ミリの造作用のねじを使いました(1×材は厚みが19ミリの場合が多いため)。
スナッピーを固定するねじも別途必要です。こちらは穴の大きさに合わせた径のねじを用意してください。
長さはL字金具にスナッピーを固定する用が10ミリくらい。カホン本体にL字金具を固定する用が25ミリくらいです。
組み立て①材料をカットする


SPF材もベニヤ板も、そんなに固いわけではありません。電動の丸ノコを使ってもいいのですが、普通ののこぎりで丁寧にカットした方が正確できれいに仕上がります。
もしくは、木材の選び方の項目でも説明した通り、設計図をダウンロードしてホームセンターに持参し、カットしてもらうのが便利です。


SPF材は図のように、長さ230ミリ2枚、長さ280ミリ2枚に切り分けます。
シナベニヤとベニヤ板は、それぞれ幅230ミリ、高さ318ミリに切ります。背面版になる5ミリ厚のベニヤは、中央に120ミリの穴を開けます。


穴開けには、できれば電動ドリルとホールソーがあると便利です。しかし、両方揃えると安い物でも7~8千円してしまうので、サークルカッターを利用する方法もあります。
サークルカッターは10分くらいかけてじわじわ穴を開けていく必要がありますが、価格が安く、いろんな直径の穴を開けられるのがメリットです。










組み立て②木材にドリルかキリで穴を開ける


木材には、それぞれ図の位置にドリルで下穴を開けます。固い木材ではないので、直径2ミリくらいのドリルで穴を開けておけば十分です。


木材の端から9.5ミリの位置に線を引き、それをガイドにして穴の位置を決めてください。


また、穴を開けた後にプラスドライバーなどで穴をぐりぐり広げておくと、皿ねじを打った時にきれいにおさまります。


打面と背面にも図の位置に穴をあけておきます。こちらもドライバーなどで穴をぐりぐりと広げておき、後で皿ねじを打った時収まりやすいように加工します。
組み立て③構造となる箱部分を組み立てる


構造用に使うSPF材は、どんなにまっすぐな物を買っても、わずかなソリは必ずあります。


そこで、まずまん中のねじを締め込み、力をかけて板をまっすぐに伸ばしながら、左右両端のねじをとめていきます。最後に残った穴にネジを組み付けます。
上面、下面を組み付けたら完了です。この時点で、後にL字金具(スナッピー)を固定するための穴を開けておきます。


図の位置に直径3ミリの穴を開けます。
組み立て④カンナをかけてすき間をなくす


打面と背面版を乗せてみて、すき間ができるようならカンナで修正しておきます。凸部を削り、ベニヤ板がぴったり収まるようにしておいてください。
組み立て⑤打面を取り付ける


まず打面から組み付けていきます。設計図通りに組み付ける場合は、木工用ボンドとねじを併用します。
後から打面を取り外せるようにするには、ねじの本数を増やし、木工用ボンドを使わないようにします。めやすとしては、ねじを16本くらい使うとよいでしょう。


余力があれば、目立つすき間を木工用のパテで埋めておくと仕上がりがきれいになります。
組み立て⑥スナッピーを取り付ける


まず、L字金具にスナッピーを取りつけます。スナッピーの穴は3ミリくらいなので、直径3ミリ、長さ1~2ミリのねじでとめます。
次に、SPF材に開けておいた穴を利用して、L字金具の打面に近い方の穴をSPF材に固定します(ちょっとゆるめにとめてください)。


スナッピーの角度を調整しながら少し叩いてみて、ちょうどよさそうな位置にL字金具を固定します。
固定には長さ1センチくらいの木ねじを使います。
組み立て⑦背面のベニヤ板を取り付ける


軽く打面を叩いてみて、問題なく演奏できそうであれば、裏面のベニヤ板を取りつけます。裏面の取り付けにはねじと木工用ボンドを併用してください。
組み立て⑧塗装する(おすすめはクリア)


今回は1台を青、1台を黄色に塗装しました。ラッカーが扱いやすくおすすめです。SPF材の北欧家具っぽさを生かすなら、クリア塗装がいいと思います。
組み立て⑨ゴム足を取りつける


最後にゴム足を取りつけて完成です。
初めてでも簡単に作れる!自作カホンの設計図


この記事に目を通しておけば、あとは下の設計図をプリントアウトすればOK。設計図だけで組み立てることができます。
ホームセンターで木材をカットしてもらう時は、係の人に1枚目の図を見せてください。
設計図ダウンロード(PDF)材料が無駄になりそうなら自作キットや市販品もありです


絶対に1台しか作らない! という場合は、材料が余ってしまうので割高になります。そんな場合は、コスト面だけを考えると、市販の自作キットが有利かもしれません。










マイネルのカホンDIYキットは実際に作ったことがありますが、完成度としてはマイネルの市販品より1~2ランク落ちる感じでした。打面が厚くて音が鳴りにくいのも残念なポイント。
実用的に使いたい場合は、思い切って製品版を買った方がいいかもしれません。










Pearlなら有名なメーカーなので安心ですし、上の商品はジュニア向けなので、この記事で作ったカホンに近いサイズです。
「ミニカホン」は手のひらサイズなので要注意!


よくネット通販で見かける「ミニカホン」という名前の商品は、ちょっと小さいレベルではなく、ものすごく小さい手のひらサイズです。
なので、普通のカホンの練習にならず、あまりおすすめしません。










手作りカホンを市販のカホンと比べると? 値段や音色は?


写真はこの記事で作っている自作のキッズカホンと、Pearlのキッズカホン「ファンボックス」。高さは同じくらいですが、ファンボックスの方が奥行きと幅があります。










市販品であるファンボックスはだいたい1万2000円前後で販売されており、値段の差は3~4倍くらい。けっこう違うのですが、やはり仕上のきれいさや、低音の出方は「さすがPearl」という感じです。
いずれ本格的にカホンを練習したいという場合は市販モデルがいいかもしれません。
楽しく工作して、もしカホンにハマるようなら高いのを買おう! ということであれば、手作りカホンから初めて、ゆくゆくはシュラグベルクやマイネルの、しっかりしたカホンを買うのがおすすめです。