急に楽譜を渡されて「○○日までにこの曲を指導して」といわれて焦る保育士さんや、幼稚園の先生もいらっしゃると思います。ピアノが得意な先生ならよいのですが、苦手な先生が急に振られた場合、なんとか対処する方法を考えないといけません。
※一番下に動画解説&楽譜ダウンロードリンクがありますので、併せてご覧ください。
もくじ
ここでは、急に歌の指導を振られた場合の対応策を3パターンにわけて考えていきます。①一人で歌の指導と伴奏の両方をこなさいといけない、②厳しいスケジュールを告げられて時間がない、という前提で記事を作成しています。
一番大切なのは先生の笑顔
私が考える、一番大切なポイントは先生の笑顔です。先生が楽しそうに演奏していると自然と子どもたちも乗ってくれます。逆に、苦手な楽譜と格闘するあまり、縮こまって弾いてしまうと、子どもたちはなかなか乗ってくれません。せっかく頑張ってピアノを弾いても、ウケなかったらかなりショックです。
ですから保育士さんにとって一番シンプルな解決策は「アカペラ」です。アカペラでいきいきと歌えば、それだけで子どもたちに気持ちが通じます。園長先生から「ピアノで伴奏してください」という条件がついていたら弾かないわけにはいきませんが、その場合でも「歌が一番大切」です。カペラ+αで乗り切る方法から考えてみましょう。
【ステップ1】どうしても難しければルート音だけを弾く
「何か弾かないといけないけど、練習する時間がない!」という場合、伴奏はルート音だけを弾いて「歌をがんばる」という方法がおすすめです。
ルート音とは、コード(和音)の名前の基となる音です。たとえばCなら「ド」、Fなら「ファ」がルート音。CFGの3コードの楽譜を見てみると、図のようになっています。ルート音はドとファとソですね。

最初は全音符で弾いてみるところから始めましょう。各小節の頭だけを弾いてみてください。ちょっと余裕が出てきたら何か工夫してみましょう。タンタンタンタンと4つ弾いてみるとか、ターンタターンと弾いてみるなど、左手のルート音だけでも少し伴奏を変えることができます。

もし「メロディーを弾かないと歌うときに音がとれない」という場合は、ルート音+メロディーを弾いてみてください。
【ステップ2】コードを覚えるとかなり自由になれます
さて、このあたりからだいぶ実践的になってきます。
ちょっとだけ余裕のある人は、コードを覚えてみてください。「子どもの頃ピアノを習ってたけど、コードで弾いたことないなぁ」という人は、コードを覚えるといろいろ楽に弾けるようになります。

一段譜にコードがついているだけの楽譜を渡された、という場合は左手でルート音を、右手でコードを弾いてみてください。それだけでもかなり立派な伴奏になります。そこからバリエーションを考えれば、さらによくなるはずです。
上の図は一部のコードダイアグラムだけを紹介していますが、下の本などでいろんなコードを調べることができます。
コードを覚えるとき、最初は楽譜にダイアグラムを書き込んでもよいと思いますが、どうしてもそれを見て弾いてしまうので、覚えたら消す方がよいと思います。あるいは最初から別の紙にコードダイアグラムを書いておき、わからないところだけ見るようにすると、頭に入りやすいです。
コード奏法については、以下の記事で詳しくフォーローしました。コードを10個くらい覚えるだけで、弾きたい曲の半分くらいは弾けるようになりますよ。
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ほとんどの曲が簡単にピアノ伴奏できる! 保育士さんのコード奏法入門
今回の記事では、ピアノのコード奏法に絞って解説しています。出てくるコードは10個くらい。なのに、弾きたい曲の半分くらいが伴奏できるようになるはずです。 『ペンギンマークの百貨店』のコード・楽譜の情報を ...
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【ステップ3】楽譜通りに弾くときのポイント

ここまでは、比較的自由に伴奏しても構わない場合の解説でした。でも園によっては「この楽譜通りに弾いてください」といわれる事もあると思います。
そんな場合は頑張って練習するしかないのですが、そのときも、何が大切かを意識しながら練習してみてください。
一番大事なのはメロディです。「メロディは歌う」というケースでは、一番大切なのがベース音。まずは歌の練習を頑張って、その次に伴奏でベース音に気をつけます。そして、それが弾けたらハーモニー、という順番に重視して練習すると効率的です。
この順番に重視しましょう
- 歌の練習をがんばる
- 伴奏のベース音に注意
- 上2つができたらハーモニー
そして、楽譜通りに弾くことよりも大切なのは、先生の笑顔。もし楽譜通りに弾いていて「ここがよくわからない」となったら、その部分はコードを弾いたりルート音だけを弾いて乗り切りましょう。先生の歌が生き生きとしていれば、なんとかなるはずです。
私はこれまで、いくつかの保育園や子育て支援センターで音楽講師としてお仕事をさせていただきましたが、その中でこんな先生に出会いました。
先生はピアノが得意というわけではありませんでしたが、「こんな風にやってみるといいですよ」とアドバイスすると、すぐに実践。失敗を恐れずに、どんどん楽しんでやってみる。そんな方でした。
この先生のクラスは、楽しそうに歌う先生に引っ張られるように、いつも楽しそう。子どもたちも生き生きと元気に歌うクラスでした。
先生が前向きにどんどん挑戦すれば、それが子どもたちに伝わり、子どもたちも積極的に歌ってくれるはずです。一番大切なのは先生の笑顔と先生の気持ちだと思います。
ピアノに苦手意識があっても、楽しむ気持ちがあれば大丈夫。
ピンチに負けず、頑張ってください!
動画解説
楽譜ダウンロード
YouTubeビデオや、この記事で解説している「かたつむり」の楽譜はこちらでダウンロードできます。
楽譜とコード付き歌詞をまとめたPDFファイルになっていますので、パソコンでダウンロードして印刷するか、タブレット端末やスマホに保存して参照してください。